総務を経験していると、
多くの新入社員との出会いがある反面、
多くの退職という別れとも向き合うことになります。
定年で円満退職、
結婚で寿退職など、
お互いが気持ちよくお別れできる
退職はいいものです。
しかし、ここ数年、
コスト削減
人員カットによる業務の負担増加
時間外勤務の減少
人事評価体制の厳格化
など会社の方針が従業員のストレスの一因になり、
やむなく途中で退職する人も出てきます。
総務という立場になると、
淡々と退職の手続きを進めることになりますが、
役員や退職者の上司といった人から
「退職を考え直すように説得してくれ」
と頼まれることもあります。
そんな時、あなたならどんな言葉をかけますか?
わたしは20年近くこいった場面に立ち会ってきましたが
一番の回答というのはありません。
しかし、一番大切な考え方だけは理解しているつもりです。
それは、
退職者本人の立場に立って考える
ということです。
退職を一度決めた人は気持ちも固く、
そう簡単には考え方は変わりません。
そして、無理をして変えてもらうことはナンセンスだと思います。
総務として考えることは
1.退職に至った本当の理由を教えてもらう事
2.退職後どうしたいのか
3.退職希望者本人の現在の状況(体調・家庭の環境等)
4.退職希望者に合った職場環境・労働条件の提案
といったことが重要です。
1.退職に至った本当の理由を教えてもらう事
退職者の本当の気持ちを知らなければ
その人に合った対応がとれません。
家業を継ぐためといった具体的な退職理由があれば
それはきっと本当の退職理由だと思います。
しかし、
- 言いにくいから
- 言っても無駄だと思うから
- もう辞めるからあまり後を濁したくない
などの理由で、本当の退職理由を
最初から話す人は稀です。
退職に至った経緯や、
本人の今後について力になれることがあるか、
自分に転職や、会社の不満に対してどのように
対処してきたかなどの
本人の興味がある話をしながら、
本当の退職理由を探って見ましょう。
どうしても言いたくないという人には
無理に聞く必要はありません。
意思が固い証拠です。
それでも、たまに世間話しているときポロッと
本音が出るときもありますので、
この人、本当のことを言っていないな
という直感があれば、
話をする時間を多くとってみましょう。
2.退職後どうしたいのか
本人に「家業を継ぐ」とか、
「夢を実現するための転職」といった
前向きな転職ならば後押しするのが
本人にとってもベストです。
会社の都合だけで無理に引き留めることで
本人は、夢や家のことを悩みながら
悶々と仕事することになり
仕事に集中できなくなる原因になります。
しかし、職場の不平不満だけようならば話は別です。
問題は本人か、周囲の問題になります。
話し合って解決可能ならばよいのですが、
職場の人間関係・賃金などの
不満を理由に退職する場合は、
問題が発生したときから時間が
かなり経過していて、
その間に苦手・嫌だといった固定観念が
固まっていることが多いです。
さらに、転職先の打診など周到に準備が
進んでいる事も多いため、
何をしてもダメということが多いです。
しかし、こういった時にも
不平不満の理由に誤解があるようだったら
その説明だけはしておきましょう。
退職を申し出るときは本人も
退職という目的に向かって猪突猛進、
周りが見えない状況ということが多いです。
退職後、冷静になった頃に、
ひょんなことから誤解だったことを知ったとき、
「なぜあの時に行ってくれなかったのか?」
となって本人が公開することがあるかも知れません。
退職手続きを淡々と進める担当者も大切ですが
親身になって考えてアドバイスできる
冷静な第三者という立場が重要です。
3.退職希望者本人の現在の状況(体調・家庭の環境等)
退職理由が
- 本人の体調不良
- 家族の介護
- 家庭内の問題
上のような場合は、
会社として柔軟な対応をすることで
退職を考え直してもらうことがあります。
上記の理由で退職する人は
相当疲れていることが多いです。
選択肢も複数考えられずに
相談する相手も時間も無い。
そんな状況が多いです。
まず、本人の状況を詳しく聞く。
聞き手側の経験が浅くても問題ありません。
疲れているな、
大変だなと、
本人に寄り添った考え方ができれば
それで良いのです。
4.退職希望者に合った職場環境・労働条件の提案
会社側で柔軟な対応をすることで
退職を再考してもらえそうな場合には
様々な選択肢を提案してみましょう。
入院で休んでも休業補償があることを説明したり
勤務時間をフレックスにしたり、
短時間勤務への変更などの
本人の負担が少ない働き方を提案してみましょう。
介護で大変ということなら、
介護サービスや、
介護施設の利用状況を聞くことで
本人の負担が軽減できる制度やサービスの
手続きができていなかった事に気づいたり
という場面もあるかも知れません。